マンションの理事長になったら、どんな仕事をそのように考えていくべきなのか。誰もが初めて知るであろうマンション管理業界。その一般的ではない考え方や運営方法を疑問に思うことも多いはず。
そこで、このシリーズでは理事長や役員になったら知っておくべきやりべき仕事とその裏側についてご紹介します。
今回は、理事長がマンション運営の中で管理会社変更を検討する際に陥りやすい現象についてスポットをあてます。順調に進めていると思っていても、ただ時間を無駄にしてしまっていることも多いので気を付けて下さい。
管理会社の横のつながり
管理会社は地方に行けば行くほど、実は横のつながりがあります。これは業界人でないと知ることのできない裏情報です。例えば、同じグループ会社だったり、本社が同県にある場合などは比較的分かりやすいですが、全く想像もつかないこともあります。私の経験上、小さな町でしたが、7社近くある管理会社全てが繋がっていることもありましたので・・・
また、独立系管理会社であっても他県で大手管理会社の下請け業務を受注している等、大手管理会社のグループ会社各社を含め不可侵協定を結んでおり、協力体制にある場合が多くあります。業界人では常識ですが、そのあたりは見積金額を見て判断するしかないでしょう。
見積提出はパフォーマンス
横のつながりがある場合、金額指定のもと、相見積もりを提出してくることがあります。横でつながっており、どうせ取れない仕事であれば金額をわざと高く出して、その後のプレゼンを回避するという方法もありますが、仲が良い会社であればプレゼンまでお付き合いすることもしばしばあります。
新たな管理会社の視点に立ってみる
管理会社としては、金額が落とされ、さらに揉めており、かつ、要求水準の高い管理組合を受託したいと思うでしょうか?
会社の建前としては欲しいと思っているでしょうが、実際は、可能な限り条件を良くした状態で管理が欲しいと思っており、現場スタッフには、もう増えなくて良いよ・・・と嘆いている人も多くいます。
ということで、多くの場合、設立当初からの管理会社を変更すればグッと金額が落ちますが、次の管理会社は契約外の仕事は極力しないようにするのが普通です。
現管理会社を指導
管理会社変更を検討しながら、現管理会社へは「信頼を取り戻せるよう頑張れ」という「指導」をするケースが多いと思います。中には担当を変えたりすることもあるでしょうが、ほとんど上手くいきません。なぜなら、「管理会社への指導」は、現担当者や管理会社にとっては余計な仕事となり重荷になるからです。管理業界は、いわばクレーム産業であり給料水準も決して高いものではないため、どこも人手不足です。実際問題、「管理会社への指導」という名の荷物を受け取ったとしても、信頼回復に力と時間を回すことができないのです。私も経験がありますが、表立っては一生懸命取り組むフリをしますが、内心は「早く契約解除にならないかな。仕事ばかり増え、信頼していくれている他の管理組合に迷惑がかかる・・・」と思うこともありました。
要するに、ギリギリでやっていて信頼を失ったが、時間がないため、今以上の取り組みができない。もしくは、頑張って契約が残ったとしても、それを維持することが難しい。ということです。
結局・・・
管理会社を変えるとなれば、現管理会社の指導なんかせず、スパッと次の会社を選ぶことが組合にとって最も負担が少なく、スムーズだと思います。
指導して改善したと思っても、それは無理をして合わせていることがほとんどですので、長続きしないことが多いです。管理会社の体制を確認し、人員に余裕がないようであればなおさらのことです。
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